中小企業経営者の約4割が自社の決算情報、融資とその返済状況を正確に把握できていないと判明 可視化経営にはDXが必須!債務地獄を逃れ、黒字に変えるDX推進とは
ゼロゼロ融資の返済が今夏から本格化しています。特に中小企業においては新型コロナウイルスによる影響だけでなく、物価高騰・人件費上昇などで資金繰りが厳しくなっており、ゼロゼロ融資の返済はさらなる負担になっています。また、現代はデジタルビジネス時代と呼ばれる反面、日本は『IMD世界デジタル競争力ランキング』で64か国中29位とデジタル後進国と言われており、経営状況の可視化にも影響を及ぼします。
今回は中小企業の可視化経営の実態を明らかにすべく、調査を行いました。
【調査結果サマリー】 ①今夏、返済が本格化するゼロゼロ融資。約6割が受けたと回答! しかし、半数以上の企業が、返済が7割以上残っており、中小企業経営者は返済に苦しんでいる事が明らかに ②DXの進捗レベルと自社の収支状況の把握レベルが相関!? DXで事業改革までできている経営者は、決算情報を67.7%、融資とその返済状況を77.4%が正確に把握できているが、 DXに取り組めていない経営者は、決算情報を47.3%、融資とその返済状況を57.7%しか正確に把握できていない! 可視化経営にはDXが必須!債務地獄を逃れ、黒字に変えるDX推進とは |
本リリースの調査結果をご利用いただく際は、必ず【フォーバル GDXリサーチ研究所調べ】とご明記ください。
【アンケート概要】
・調査主体:フォーバル GDXリサーチ研究所
・調査期間:2023年6月12日~7月11日
・調査対象者:全国の中小企業経営者
・調査方法:ウェブでのアンケートを実施し、回答を分析
・有効回答数:645人
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①今夏、返済が本格化するゼロゼロ融資。約6割が受けたと回答!
しかし、半数以上の企業が、返済が7割以上残っており、
中小企業経営者は返済に苦しんでいる事が明らかに
Q1. あなたの会社ではコロナ禍で「ゼロゼロ融資」を受けましたか。
中小企業経営者に、ゼロゼロ融資を受けたか聞いたところ、56.6%と約6割が「受けた」と回答しました。
金利が実質無利子ということもあり、中小企業経営者の半数以上が、ゼロゼロ融資を受けていることが判明しました。
Q2. 「ゼロゼロ融資」の返済状況を教えてください。
ゼロゼロ融資の返済状況について調査した結果、22.5%が「未返済」、40.6%が「3割未満返済済み」と回答し、合わせて半数以上が、借入額の7割以上を返済できていないことが明らかになりました。新型コロナウイルスの影響だけでなく、物価高騰や人件費増加などの社会環境の変化によって経営が厳しくなっている企業にとって、返済がさらなる負担になっていると考えられます。
Q3. 「ゼロゼロ融資」の返済はどの程度負担になっていますか。
ゼロゼロ融資の返済について、「とても負担になっている」、「少しは負担になっている」合わせて53.0%と半数以上が負担と回答。
このように多くの中小企業経営者が、ゼロゼロ融資を受けたものの、返済が進んでおらず企業経営の負担になっていることが明らかになりました。ゼロゼロ融資の返済が本格化する今夏、多くの中小企業が経営に支障をきたす可能性があります。
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②DXの進捗レベルと自社の収支状況の把握レベルが相関!?
DXで事業改革までできている経営者は、
決算情報を67.7%、融資とその返済状況を77.4%が正確に把握できているが、
DXに取り組めていない経営者は、
決算情報を47.7%、融資とその返済状況を57.7%しか正確に把握できていない!
可視化経営にはDXが必須!債務地獄を逃れ、黒字に変えるDX推進とは
Q4.自社の決算情報について、それぞれどの程度把握できていますか。
ゼロゼロ融資の返済など経営状況に負担を感じている中小企業経営者が多いということが分かりましたが、自社の経営状況についてどの程度把握できているのでしょうか。
中小企業経営者に自社の決算情報、融資情報をどの程度把握できているか聞いたところ、DXの進捗度がステップ3(事業改革:事業戦略の再構築・新規事業の創出)に至っていると回答した経営者は、67.7%が決算情報、77.4%が融資とその返済状況を「正確に把握できている」と回答しました。
しかし、ステップ2(情報活用:デジタル化の推進により得られた情報の利活用)と回答した経営者は、62.4%が決算情報、70.4%が融資とその返済状況、ステップ1(意識改革:DXに向けたデジタル化の推進)と回答した経営者は、56.2%が決算情報、63.9%が融資とその返済状況、DXに取り組めていないと回答した経営者は、47.3%が決算情報、57.7%が融資とその返済状況を正確に把握できていると回答し、DX進捗度が下がると決算情報や融資とその返済状況の把握度が下がるという結果となりました。DX化が自社の収支状況の把握に大きく影響していると推察されます。
Q5.把握できていないものに対して、その理由は何ですか。
中小企業経営者に自社の経営状況について正確に把握できていない理由を調査した結果、決算情報について62.5%が「税理士など専門家に任せている」と答え、融資とその返済状況について33.3%が「経理担当者など社員に任せている」と回答しました。
経営者が、自社の収支状況の把握を税理士など専門家や社員に任せきりにしてしまっている場合、最適な意思決定を行うことができません。そういった社内体制が、経営状況にも影響してしまっているのではないかと推察されます。
今回の調査で、今夏から本格的にゼロゼロ融資の返済が始まる中、多くの企業が借入金に依存した経営を行っていることが明らかになりました。また、健全経営には可視化経営がマストであるのに対し、自社の経営状況を把握できていない経営者が多いと分かりました。
可視化経営には、DXの導入による効率の良い収支管理、社内の共有が必要です。経営者が、正確な経営状況を知ることで、正しい意思決定ができ、新規事業の創出なども行うことができます。
そのため、経営状態を健全に保つには、まずはDXを推進する必要があります。
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【有識者のコメント】中小企業のDX推進について
フォーバル GDXリサーチ研究所所長
平良 学(たいら・まなぶ)
■経歴
1992年、株式会社フォーバルに入社。
その後営業部長を経験。2001年からは九州支店に所属し、赤字経営の立て直し、コンサル事業の立ち上げに成功。以降アライアンス事業の事業責任者を全うする。
現在は、全国のコンサル事業の全体統括や「ブルーレポート」の統括、国・行政との連携を行う事業の責任者を務める。
数々のメディア掲載実績を持ち、中小企業経営者を対象とした経営塾の講師、DXを始めとするウェビナーにも数多く登壇している。
■本調査リリースについてコメント
2023年上半期には、企業倒産率が前年比32%増となり、その主因としてコロナ禍に伴うゼロゼロ融資の返済が今年から本格化していることと、物価高など経営環境が悪化し続ける中での返済負担が重く、資金繰りに行き詰ってしまっていることが挙げられます。
増大した返済負担と経営環境の厳しさが背景にあると見られ、本調査の時点ではゼロゼロ融資を受けた中で受けた融資の7割以上が未返済である企業は全体の6割を占めています。
一方で、情報のデジタル化に取り組む企業、すなわちDXに取り組んでいる企業は、データ活用とリアルタイムの情報収集により経営状況の可視化を達成しています。その結果、より正確な経営状況の理解と戦略策定が可能となり、これが健全な経営に寄与しています。
このように、現在の不透明な経営環境下では、デジタル技術の活用及びデータの利用は経営の見通しを確保する上で必要不可欠な手段となっています。
■フォーバル GDXリサーチ研究所とは
日本に存在する法人の99%以上を占める中小企業。この中小企業1社1社が成長することこそが日本の活力につながります。中小企業が成長するための原動力の1つにGreen(グリーン)とDigital(デジタル)を活用し企業そのものを変革するGDX(Green Digital transformation)があります。
フォーバル GDXリサーチ研究所は、中小企業のGDXに関する実態を調査し、各種レポートや論文、報告書などをまとめ、世に発信するための研究機関です。「中小企業のGDXにおける現状や実態を調査し、世に発信する」をミッションに「中小企業のGDXにおいてなくてはならない存在」を目指し活動していきます。